天才への憧れと劣等感

以下の本を読了し、森博嗣氏のいわゆるS&Mシリーズをすべて読み終えました。

有限と微小のパン (講談社文庫)

有限と微小のパン (講談社文庫)

このシリーズ通して見られた「いい意味でのミスリード」と、「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」という言葉がふさわしいほど直近の未来に起こりうる高度な魔法を垣間見せた作品です。

さて、表題の件。
僕がこの本を読んでいて感じたのは「天才への憧れと劣等感」です。

このS&Mシリーズには少なからず「天才」と呼ばれる人たちが出てきます。
主人公である犀川創平しかり、西之園萌絵しかり、彼らの上を行く存在である真賀田四季しかり。それ以外にも多くの「天才」が登場してくるこのシリーズ。こういった登場人物の活躍を見るたびに「こうなりたい」と思う自分と「こうはなれない」と思う自分が出てきます。

当然ですが、彼らは架空の人物たちですし、森博嗣氏が生み出した空想上の「天才」です。真賀田四季のような人がいたら、僕らはとっくにドラえもんに会えたことでしょう。
それでも僕は「憧れと劣等感」を感じずにいられなかった。彼らのようになりたいと思いながら物語を読み想像をふくらませ、そのたびに今の自分とを比べてしまう。確かに、トリックや最後の謎解きは読んでいて非常に引き込まれる。でも、僕は何よりも登場人物に魅力を感じながら読んでいた。

まぁそんなわけで、今から「天才」にはなれないけれども、せめて「天才に近づくための努力」は惜しまないようにしたい。