NPBにチャレンジが導入される時に出そうなアンチ記事を想像で書いてみる。

メジャーリーグではすでに導入され、ファンの間では日本プロ野球でも導入すべきと言われる「判定に対してビデオ判定を審判に行わせる権利」、いわゆる「チャレンジ制度」。
これが将来日本でも導入されるとして、誰かが書きそうなアンチチャレンジ制度記事を想像で書いてみようと思います。

想像力の鍛錬ということで、ひとつ。


題名: チャレンジ導入で終焉に向かう日本プロ野球

来シーズンより、日本プロ野球(以下、NPB)に新しい制度が導入される。いわゆる、「チャレンジ制度」というものだ。

このチャレンジ制度、米メジャーリーグ(以下、MLB)ではすでに導入されている。
簡単に説明すると、「審判の判定に対して選手・監督側が異議申し立てを行いビデオ判定を要求することができる」というもの。これまでも、きわどいホームランの判定の際にはビデオ判定が行われることがあったが、これを他のシーンでも行うことができるようになる。

率直に述べて、私は今回のチャレンジ制度導入には反対の意を示している。

はじめに断っておくと、これは1野球ファンとしての意見だ。私は常にNPB各球団の動向をチェックしているし、球場にも足を運ぶ。ニュースだけを見てチャレンジ制度に反対しているのではなく、純粋に野球を楽しむ個人としてもチャレンジ制度が導入されることに大きな抵抗を感じている。

確かに、チャレンジ制度は選手・監督側に審判に対する正当な抗議の権利を与える、という点においては有効な制度と言える。
これまでも何度となく審判の判定に対して抗議が行われてきたが、その判定が覆ることはあまりなかった。審判も人である以上ミスがないとは言い切れず、一試合一試合を死に物狂いで戦う選手たちにとって、一つの判定の狂いが結果に対して大きな影響を与えることも少なくない。

しかし、である。
そもそも野球、ひいてはスポーツというものは「人と人の戦いを人が裁く」というところが魅力ではないだろうか。
真剣に戦う以上、お互いの意見がぶつかることもあるだろう。だが、こうした抗議のシーンも、野球の一つの花である。それぞれの真剣な思いのぶつかり合いこそが、スポーツの醍醐味といえよう。

それがチャレンジ制度が導入されることで、機械による判定が主流になってしまうことを私は危惧している。
今回のチャレンジ制度では、機械が介入してくる範囲は審判の判定に異議があった場合にとどまっている。これがきわどいシーンの判定だけではなくストライクとボールの判定など、これまで審判が人の目で行ってきたことが機械に行われるようになる可能性がないとは言い切れない。
そうなれば、試合全体がどこか熱意を失ってしまい、これまでのようにファンを熱狂させきたNPBではなくなってしまうように私は感じている。

そもそも、NPBにチャレンジ制度を導入する必要はあるのだろうか。
MLBではすでに導入され、一定の成果を上げている。しかしそれはMLBの場合であって、全く同じことがNPBでも言えるかと言われればそうではない。
私が思うに、日本の審判団はMLBに比べてレベルが高く正確な判定を下している。これまでも抗議などは行われたが、あとからビデオで確認してもやはり審判の判断が正しかったということがほとんどだ。 野球の発展という点ではこれまでMLBに遅れをとってきたが、選手のレベルだけではなく審判のレベルでもMLBを上回っており、そのような状況でチャレンジ制度を導入すること自体に私は疑問を感じている。

すでに各球場にはチャレンジ制度のためのカメラが準備され、選手会・審判団による合意も済んでいる。
この制度の導入により、NPBが破滅への一歩を歩みだしてしまうのではないかという不安を抱きながら、来シーズンのプロ野球を見守っていこうと思う。


以上です。

今回盛り込んだ「アンチにありがちな構成」としては、

  1. 1野球ファンであるということの強調
  2. 論理の飛躍
  3. MLBとの比較

です。
また、「ある点では譲歩しながら制度を批判する」「自分の意見への批判をかわすために具体的な数字や過去の実績には触れない」などなど。

ちなみに僕自身は、チャレンジ制度の導入には賛成です。
これまでもかなり残念な判定によって試合がぶち壊されていくのを見ているので、早く導入してもらいたいと思っています。